ハードロックにプログレッシブ・ロック、グラム・ロックなどロックの中でも重要ジャンルが生まれたのが1970年代。
もちろん名盤もたくさん誕生しました。
本記事ではそんなロック史においても濃密な1970年代ロックの名盤を数ある中から10枚に厳選しましたので、手に取ったことがない方、これから聴きたいと思っている方は試聴しながら好みに合う名盤を探してはいかがでしょうか。
それでは1970年代洋楽ロックの名盤、紹介していきます。
1970年代洋楽ロックの名盤①QUEEN Ⅱ
イギリスのロックバンドであるクイーン(QUEEN)の1974年にリリースされたセカンドアルバム「QUEEN Ⅱ」。
クイーンが世界的に広く圧倒的支持を集める手前の初期の傑作です。
注目すべきは、サイドホワイト、サイドブラックと呼ばれる叙情性と攻撃性のコントラスト。
サイドホワイトはひたすら美しく叙情的で味わい深い曲が中心で、サイドブラックはホワイトとはうってかわり荒々しくアグレッシブなロックへ音楽性がガラッと変化します。
このコンセプトがすばらしいのです。
曲単位でダウンロードしてお気に入りの曲だけ聴くことのできる今でこそ、アルバムをひとつの作品として味わってほしい、聞き込んでほしい名盤です。
Seven Seas of Rhye
クイーン
1974/02/23 ¥250
テレビやCMでよく耳にするクイーン。
しかしそのなじみある楽曲はクイーンの中期にあたる曲がほとんどで、ポップな曲が多いです。
クイーンって聞きやすくてとっつきやすいイメージがある、そんな人にぜひ聞いてほしいのがこのアルバム。クイーンへの印象が覆ること間違いなしです。
1970年代洋楽ロックの名盤②原子心母
1970年にリリースされたイングランド出身のロックバンド、ピンク・フロイドの「原子心母」。
特筆すべきはアルバムタイトルにもなっている楽曲「原子心母」です。なんとこの曲、驚きの20分超えという長さの超大作なのです。
この曲の長さを聞いて、かったるそう・・・と思った方もいるかもしれません。
たしかに、何度も繰り返し聴くような曲ではないです。というのも、曲の長さに加え楽曲の緻密に練られた構成や展開には、映画を鑑賞した後のような胸いっぱいになる感覚があるのです。
なので、この「原子心母」含めアルバム1枚聴いたあとは満足感が大きいです。
何度も言うようですが、大作なので繰り返し聴くのには向いてはいません。しかし、完成度の高いピンク・フロイド屈指の名盤なので、自宅のCDラックにはおいておきたい1枚です。
Atom Heart Mother
ピンク・フロイド
1970/10/02 ¥-1
1970年代洋楽ロックの名盤③ジギー・スターダスト
1972年にリリースされたイギリスのミュージシャン、デヴィッド・ボウイの5枚目のアルバム「ジギー・スターダスト」です。
このアルバムの最大の魅力は、「地球滅亡の危機を救うべく宇宙からやってきた架空のロックスター、ジギーの栄華と没落」を描いたところにあります。
「ジギー・スターダスト」は、いわゆる一定のテーマをアルバムに持たせるコンセプト・アルバム。
このジギーを描いた物語が切なくて、アルバムを聴くたびにへこんでしまいます。もちろん、楽曲が良いからこそ世界観にどっぷり浸ってしまうのでしょう。
アルバムの後半にかけてテンションを高め、ロックンロールの自殺者で終わるクライマックスは圧巻。
繊細で儚く美しい、ロック史上最高傑作のひとつです。
Starman (2012 Remastered Version)
デヴィッド・ボウイ
1972/04/28 ¥250
1970年代洋楽ロックの名盤④レッド
1974年にキング・クリムゾンがリリースしたアルバム「レッド」。
曲が長くて難解なプログレッシブ・ロックはとっつきにくそうで聞いたことがないという人に全力でおすすめしたい名盤です。
初めて聞けばその曲の気難しさに最後まで聞けないかもしれない。難しい・・・けどこの荒廃的な中にある叙情性を感じ取ってほしいです。
叙情的な美しさと破壊的で鋭く尖った演奏が絶妙な具合で調和していて、鳥肌が立つくらい感銘を受けるのです。
大衆に受けようだなんて考えてたらこんな攻撃力の高いアルバムは作ることはできないでしょう。そんな独自性あふれるキング・クリムゾンの楽曲、一度試してみませんか。
Starless
キング・クリムゾン
1974/09/27 ¥-1
1970年代洋楽ロックの名盤⑤彩(エイジャ)
ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーによるロック、ジャズデュオ、スティーリー・ダンが1977年にリリースした「彩(エイジャ)」。
これぞAORの真骨頂といえる名盤です。
70年代のアルバムと思って聴けばびっくりしますよ。音が洗練されていておしゃれすぎます。
ジャズサウンドとの融合ということで、ロックを想像して聞くと肩透かしを食らうかもしれません。ロックの暴力性とはかけ離れた、都会的で洗練されたサウンドで、まるでカフェやジャズバーにでも流れていそうな音楽です。
心を落ち着かせたい、リラックスしたいときに聴きたい癒し系ロックの名盤です。
Aja
スティーリー・ダン & トム・スコット
1977/09/23 ¥250
1970年代洋楽ロックの名盤⑥プレゼンス
レッド・ツェッペリンが1976年にリリースした7枚目のアルバム「プレゼンス」。後期も後期のアルバムです。
完全に熟しきったレッド・ツェッペリンの最高傑作である「プレゼンス」は、ジミー・ペイジも認める屈指の完成度を誇ります。
ただ、セールス面だけを見れば全作品中もっとも少ないのです。全米最高売上を記録した「レッド・ツェッペリンⅣ」の2300万枚に対し、「プレゼンス」は350万枚。
しかし侮るなかれ、楽曲のクオリティの高さはレッド・ツェッペリンでも随一。中でも「アキレス最後の戦い」はもはやアートですね、神々しいです。ほかのハードロックバンドにはない中近東風味のサウンドもエキゾチックで心地よい。
Achilles Last Stand
Led Zeppelin
1976/03/31 ¥-1
1970年代洋楽ロックの名盤⑦ニューヨーク52番街
アメリカのミュージシャン、ビリー・ジョエルが1978年にリリースした6枚目のアルバム「ニューヨーク52番街」。
酔っ払いについて歌っているかと思えば、ハッとさせられるような静かな美しい名曲があったり、ひとつのアルバムでビリー・ジョエルのいろんな側面を楽しむことができます。
誰もが知る珠玉の名曲「オネスティ」が収録されているのもこのアルバムです。はっちゃけた曲の後に心洗われるような曲が待っているあたりもセンスがうかがえますね。
名盤も多いビリー・ジョエルですが、「ニューヨーク52番街」は一粒で何度もおいしい華麗なるアルバムです。
Honesty
ビリー・ジョエル
1978/10/12 ¥200
1970年代洋楽ロックの名盤⑧ジョンの魂
「ジョンの魂」・・・たいがいトンチンカンな邦題がつけられる邦題ですが、ここまでアルバムの本質を言い表しているタイトルは珍しいなと感じます。
ビートルズ解散後にジョン・レノンが1970年にリリースしたのが「ジョンの魂」というソロ作品。
ビートルズの解散などで精神的に参ったジョン・レノンは、妻オノ・ヨーコとともにアーサー・ヤノフ博士の「プライマル療法」を受けました。
それは自身の幼少時代から心に負った傷、内面の苦しみを外部に吐き出すという療法。
幼いころに父が蒸発、母が出ていき母の姉夫婦に育てられるものの、その後再び父と母が親権争い~母を選ぶがまた姉夫婦に預けられてしまったことが、ジョンの心に闇を落としていたのです。
それをせきららに、着飾ることなくまさにジョンの魂の叫びを収めたのがこのアルバム。
ひとりの人間の苦悩が、痛々しくも生々しくつづられています。
Working Class Hero
ジョン・レノン
1970/12/11 ¥250
1970年代洋楽ロックの名盤⑨アメリカン・ビューティ
アメリカのロックバンド、グレイトフルデッドが1970年にリリースした「アメリカン・ビューティ」。
グレイトフルデッドというとサイケデリック・ロック、即興ジャズなど音楽性がその時々で目まぐるしく変わるため、とっつきにくさがあるかもしれません。
そんな方にはこの「アメリカン・ビューティ」をおすすめします。
グレイトフル・デッドの最高傑作と名高いのが「アメリカン・ビューティ」で、サイケデリアな雰囲気はまったくなく、カントリー、フォーク調の爽やか&美メロが楽曲で構成されています。
牧歌的で耳に心地良い、癒されるロックサウンドが楽します。
Sugar Magnolia
グレイトフル・デッド
1970/11/01 ¥250
1970年代洋楽ロックの名盤⑩人間解体
ドイツの電子音楽グループ、クラフトワークが1978年にリリースたした「人間解体」。
もはやロックというジャンルの域ではないのかもしれませんが、70年代の名盤としてぜひおすすめしたいです。これ、すごいです。
電子音楽ということで無機質で近未来的な雰囲気も感じられるのですが、そこはかとないレトロ感もあるのです。
なのでちょっととっつきにくい前衛的な姿勢があるにもかかわらず、体温があって親しみやすい。
近年の流行ジャンルであるEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を遡ればクラフトワークにたどり着くほどに彼らの影響力は絶大です。
ザ・モデル (Remastered)
クラフトワーク
1978/05/19 ¥250
70年代の名盤を楽しもう
以上、1970年代洋楽ロックの名盤10選でした。