産業ロックということばのイメージからすると、売れることを前提として作られた、ニーズに応えるための商業ロックという感じがしますね。
実はいまいち産業ロックとは何かを明確に説明しているものってなくて、ほとんど憶測というか、解釈によるものなんじゃないかなと個人的には思います。というのも、産業ロックということば自体、日本でしか使われていないカテゴリーなのです。
なので、産業ロックとはどういうものか考えつつ、80年代を彩ったいわゆる産業ロックに分類されるロックバンドを見ていきます!
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
- 「サージェント・ペパーズ~」名盤誕生の背景
- “神”と呼ばれた天才ギタリスト
- ドラッグ体験を再現するサイケデリック・ロック
- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
- ブリットポップブームの象徴、ブラー対オアシス騒動
- 過激なパンクを広めたグリーン・デイの功績
産業ロックとはどんなロックバンドを指す?
画像:Amazon
80年代になると、ロックは他ジャンルだったり非ロック音楽と融合していきます。ロックがどんどん多様化されていくんですね。
しかし、そんな進化していくロックが増えていく中で一歩遅れているような、昔ながらのロックをするロックバンドも依然存在していました。
具体的には、ジャーニー、サバイバー、フォリナー、REOスピードワゴン、スティックス、TOTO。
これらのロックバンドに対して、音楽ジャーナリストの沢田太陽さんは下記のように言及していました。
彼らが当時30歳前後と既に若さがなく、ファッション・センスにも乏しく、パンク~ニュー・ウェイヴの時代にもなっているのにハード・ロックやプログレに範を取った旧態依然としたサウンドを展開していたこと。
引用「ロックの50年、究極の500枚」(P.129 沢田太陽)
・・・つまり、いつまでそんな音楽やってるの?という音楽を80年代に入ってもしていたってことですね。そして見た目もダサいという。
しかし、ハード・ロックやプログレッシブ・ロックに倣ったとはいっても、レッド・ツェッペリンのような華やかさや高度な演奏技術はないし、キング・クリムゾンやピンク・フロイドのように複雑な曲構成でもない。
でも、キャッチーで大衆受けするから人気はある。
だから、“売れ線”狙いだとか、“産業ロック・商業ロック”というふうに言われるようになったんですね。
ロックの歴史からみても重要な産業ロック
そんな産業ロックや商業ロックだとかいわれているロックバンドですが、80年代のロックシーンを盛り上げた存在であることは間違いありません。
人気を得ていたということは、需要があるということ。ここでは、ロックの歴史における80年代のロックの象徴でもある彼らの音楽を紹介します。
産業ロックとされるロックバンド:ジャーニー
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ファッションがダサい特徴がある産業ロックにおいても抜きんでてダサいファッションで有名なジャーニー。
ジャーニーが愛されるポイントでもあったりします。
ジャーニーは今はボーカリストが変わっていますが、スティーヴ・ペリーの圧倒的歌唱力がすばらしいロックバンド。ボーカリストが変わった今でも人気ですし、曲も人を選ばないキャッチーさがあります。
Open Arms
ジャーニー
1981/07/31 ¥200
産業ロックとされるロックバンド:サバイバー
映画「ロッキー」の挿入歌が有名なサバイバーもいわゆる産業ロックだといわれています。「ロッキー」に使われている曲はあまりにも有名すぎて一発屋扱いされていることもあります。
全然、そんなことありませんよ、ほかの曲も、バラードも秀逸です。
メンバーチェンジもありましたが、今もバンド活動を継続しています。
Eye of the Tiger
サバイバー
1982/05/29 ¥200
産業ロックとされるロックバンド:フォリナー
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元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドなど名の知れたミュージシャンがたちが終結し結成されたのがフォリナー。
もともとメンバーが名だたるミュージシャンなので、ヒット曲は数知れず。
80年代の産業ロック黄金時代を築いたスーパーグループです。
I Want To Know What Love Is
フォリナー
1984/11/13 ¥250
産業ロックとされるロックバンド:REOスピードワゴン
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遅咲きのロックバンド、REOスピードワゴンも産業ロックといわれています。
60年代後半から活動開始しているにもかかわらず、なかなか日の目を見ずに結局ヒットしたのは80年代。
あか抜けない感じは長い下積みを経験してきたからこそですね。
Can’t Fight This Feeling
REO Speedwagon
1984/11/01 ¥200
産業ロックとされるロックバンド:スティックス
「ドモアリガト ミスターロボット マタアウヒマデ」
日本語の歌詞で歌われた「ミスタ・ロボット」の曲が有名なスティックスも産業ロックに分類されるロックバンド。
初期こそプログレッシブ・ロック志向が強く長い大作傾向がありましたが、時代とともに音楽性が変わり、80年代になるとその曲のポップさが受けて商業的成功をおさめることに。
ミスター・ロボット
スティクス
2011/11/16 ¥-1
産業ロックとされるロックバンド:TOTO
日本のトイレメーカーと同じ名前のTOTO。
でも読み方は”トト”。トイレメーカーのほうは”トートー”なので発音するときは要注意。
TOTOもまた聞きやすいサウンドから産業的だといわれています。メンバー全員がマルチなミュージシャンなので、ヒット曲も多いです。それもまた産業ロックといわれる理由でしょうね。
Rosanna
TOTO
1982/04/01 ¥200
産業ロック史まとめ
- 80年代はさまざまなジャンル、音楽を取り入れたロックが多く出てくる一方、昔ながらのハード・ロックバンドもまた、ヒット曲を連発していた
- 芸術的でも演奏スキルがものすごいわけではないのに大衆人気を得ていたそれらのロックバンドは、産業・商業ロックとされた
産業ロックとは揶揄的な表現で使われますが、彼らが80年代のロックの歴史の一端を担ったことは間違いないでしょう。
<参考>クロスビート編集部 最強版 ロックの50年、究極の500枚 (2012/6/30)
- ロックの起源を知る
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