1960年代、ビートルズやローリング・ストーンズはじめUKロックバンド勢がアメリカ進出をしはじめました。
このブリティッシュ・インヴェイジョンの流れをアメリカは歓迎。
ボブ・ディランもまた、ブリティッシュ・インヴェイジョンに刺激されたひとりでした。今回は、ボブ・ディランを中心にロックの歴史を追っています。
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
- 「サージェント・ペパーズ~」名盤誕生の背景
- “神”と呼ばれた天才ギタリスト
- ドラッグ体験を再現するサイケデリック・ロック
- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
- ブリットポップブームの象徴、ブラー対オアシス騒動
- 過激なパンクを広めたグリーン・デイの功績
1960年代前半のアメリカはサーフ・ロックブーム
サーフ・ロックとは、ギター・インストゥルメンタルが主流の軽快なロックサウンドが特徴の音楽です。
代表ミュージシャンは、ベンチャーズやビーチ・ボーイズ。
ビーチボーイズが「サーフィンUSA」を発売した1963年は、サーフ・ロックブームでした。
サーフィン U.S.A.
ザ・ビーチ・ボーイズ
2017/09/22 ¥und,efi,ned
アメリカのギタリストでサーファーであるディック・デイルの、映画「パルプ・フィクション」でも使用されている「Misirlou」という曲がヒットしたのもこのころ。
Misirlou
ディック・デイル
1962/04/01 ¥200
サーフ・ロックの衰退
若者のお気楽な生き方のような要素を詰め込んだサーフ・ロックは一時旋風を巻き起こし多くのバンドが若者を夢中にさせた1960年前半。
しかし、1960年代も半ばになってくると、各地で公民権運動が起きお気楽な音楽を楽しんでいるような時代ではなくなっていました。こういった歴史的背景から、サーフ・ロックは短いブームで去ってしまいいます。
フォークを変えたボブ・ディラン
画像:Amazon
1960年代中ごろ、公民権運動やベトナム反戦運動が高まって世の中は混乱・緊張ムード。
そんな中、ボブ・ディランは戦争や体制への疑問を投げかける曲をフォークにのせ歌いました。そんな反体制の歌を歌うボブ・ディランは、反体制志向の層からは“プロテスト歌手”として崇められ、若者を中心に支持を集めました。
しかし、ボブ・ディラン本人は”プロテスト歌手”と称されることを嫌いました。プロテスト歌手を期待されると、自分がやりたい音楽ができないでしょうし、いやになる気持ちがわかります。
ブリティッシュ・インヴェイジョンのさきがけ!アニマルズ
ブリティッシュ・インヴェイジョンのさきがけとなったロックバンドがアニマルズ。
ブルースをベースとした伝統曲でボブ・ディランver.をアレンジした”朝日のあたる家“を歌いました。ニューオーリンズの売春宿の曲です。
朝日の当たる家
アニマルズ
2014/04/23 ¥250
政治的メッセージをフォークにのせて歌っていたボブ・ディランは、ブリティッシュ・インヴェイジョンによるイギリス勢の影響を受け、自身の可能性を切り開いていきます。
プロテスト歌手と言われる現状に、どうにか道を開けないか探っていたところに、ビートルズやローリング・ストーンズ、アニマルズなどがアメリカにやってきたんです。
ブリティッシュ・インヴェイジョンを受けて「ライク・ア・ローリング・ストーン」が誕生
イギリス勢の影響を受けたボブ・ディランは、1965年~ロックバンドを従えて「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」、「追憶のハイウェイ61」「ブロンド・オン・ブロンド」などの歴史的名曲を発表。自分がやりたい方向を見つけていったんです。
そして、ロック史における重要なシングル曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」が発表されます。求められる偽りの英雄像を捨て、自分のやりたいロックをやってやるという決意を秘めた曲。
Like a Rolling Stone
ボブ・ディラン
1965/07/20 ¥200
エレキギターを構えてロックスターの道を進むボブ・ディランでしたが、1965年開催されたフォーク・フェスティバルにエレクトリック・バンドとともに出場したボブ・ディランは、観客からの大ブーイングを浴びることに。
音楽の方向性を変えることを非難されたのです。
観客はボブ・ディランを、“Judas(裏切者)”と呼びました。勝手にレッテルを貼って期待して、それからはずれる音楽をして裏切者呼ばわり。勝手なもんですね。
でもボブ・ディランは屈しなかった。自分のロックを貫きます。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」が収録されている歴史的名盤「追憶のハイウェイ61」は全米で大ヒット!フォークロックブームを巻き起こします。
その筆頭となったのが、ザ・バーズ。
ボブ・ディランのカバー曲である「ミスタ―・タンブリン・マン」が全米1位の大ヒットを記録しました。
ロック史まとめ~ブリティッシュ・インヴェイジョンは革命的だった~
- 1960年はじめ、ビーチ・ボーイズをはじめとするサーフ・ロックブームだった。
- 1960年中ごろになると公民権運動が活発になるなどの歴史的背景から緊迫した社会に。
- そんなとき登場したのが世の情勢に対して歌うボブ・ディラン。
- ボブ・ディランはプロテスト歌手とあがめられたが、ブリティッシュ・インヴェイジョンに影響され自分のやりたいロックを目指す。
ブリティッシュ・インヴェイジョンはロック史においても、ボブ・ディランにとっても重要な歴史的できごとでした。ブリティッシュ・インヴェイジョンによって自身の方向性を変えられたボブ・ディランですが、その後1966年にバイク事故を起こししばらく休養します。
<参考>クロスビート編集部 最強版 ロックの50年、究極の500枚 (2012/6/30)
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
- 「サージェント・ペパーズ~」名盤誕生の背景
- “神”と呼ばれた天才ギタリスト
- ドラッグ体験を再現するサイケデリック・ロック
- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
- ブリットポップブームの象徴、ブラー対オアシス騒動
- 過激なパンクを広めたグリーン・デイの功績