その独自性で栄華は長くは続かなかったものの、1960年代後半に流行したロックのひとつにプログレッシブ・ロックがあります。
プログレッシブ・ロックの歴史について焦点を当てて書いています。
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
- 「サージェント・ペパーズ~」名盤誕生の背景
- “神”と呼ばれた天才ギタリスト
- ドラッグ体験を再現するサイケデリック・ロック
- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
- ブリットポップブームの象徴、ブラー対オアシス騒動
- 過激なパンクを広めたグリーン・デイの功績
新たな時代の幕開け、プログレッシブ・ロックの歴史
1960年代後半~サイケデリック・ロックが流行し、60年代の終わりごろには衰退しました。
イギリスではサイケデリック・ロックからハードロックとプログレッシブ・ロックへロックは分岐します。
サイケデリック・ロックから脱却したピンク・フロイド
前回の記事で触れましたが、プログレッシブ・ロックバンドとして有名なイギリスのロックバンドピンク・フロイドの初期はサイケデリック・ロックそのものでした。
それは実質バンドで権力をふるっていたボーカル&ギタリストのシド・バレットの音楽性からくるもの。しかし、シドは精神状態が不安定で結局バンド活動を続けられずにピンク・フロイドを脱退します。
シド脱退後のピンク・フロイドは、それまでのサイケデリック・ロックとは異なる、独創的な芸術色の強い音楽を追求していきます。
サイケデリック・ロックからプログレッシブ・ロックへ・・・1970年にはアルバム「原子心母」をリリースします。
サイケデリック・ロック時代のピンク・フロイドとはまったく異なる作風で、商業的にも成功をおさめたピンク・フロイドの歴史的名盤です。アルバムタイトルの「Atom Heart Mother」は驚きの23分超大作です。
Atom Heart Mother
ピンク・フロイド
1970/10/02 ¥-1
ピンクフロイドは大作志向のプログレッシブ・ロック路線へ
その後リリースしたアルバム「おせっかい」にもまた、20分超えの大作「エコーズ」が収録されています。
1973年発売の「狂気」はピンク・フロイド屈指の歴史的名盤で世界で超ヒットを記録。
ひとつのテーマに沿ったコンセプト・アルバムとしても有名なこのアルバムは、ピンク・フロイド初の全米ビルボードチャート1位を獲得しました。
一般的に人を選ぶプログレッシブ・ロックバンドのアルバムが大ヒットするなんて、今の流行を考えるとちょっと想像できないですね。まさに「狂気」です。

プログレッシブ・ロックのジャンルを定義づけたキング・クリムゾン
ピンク・フロイドがプログレッシブ・ロック路線に方向転換を目指したころ、同じくイギリスのロックバンドキング・クリムゾンがデビューアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」を発表。
プログレッシブ・ロックの定義・ジャンルを確立させた1枚といえるプログレッシブ・ロックの歴史的名盤です。
キング・クリムゾンはジャズ要素をロックに取り入れ、複雑な曲構成や演奏技術が特徴でピンク・フロイドとはまた違った個性をもつプログレッシブ・ロックです。

21st Century Schizoid Man
キング・クリムゾン
1969/10/10 ¥250
数々のプログレッシブ・ロックが成功
イエス、エマーソン・レイク&パーマー、ムーディ・ブルース、ソフト・マシーン・・・など、60年代後半~70年代半ばごろまでプログレッシブ・ロックバンドが軒並み成功をおさめていきます。
プログレッシブ・ロックバンド、イエスの「危機」
イエスの「危機」はアグレッシブな演奏に圧倒され続けるイエスの中でもっとも人気なアルバム。
ドラマーだったビル・ブルーフォードはこのあと脱退し、キング・クリムゾンに加入します。イエスでのレコーディングは納得がいくまでの修正が大変で、過酷でかなり精神的な負担だったそうです。理想を追い求める姿勢はすごいですね。失うものも大きいですが・・・

Siberian Khatru
イエス
1972/09/13 ¥250
プログレッシブ・ロックバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの「タルカス」
「タルカス」は超大作で、アルバムタイトルでもある「タルカス」という曲は“火山から出てきた怪物タルカスが、すべてを破壊して海に帰っていく”というストーリー仕立てになっています。
そんな想像上のモンスターが暴れまわるとか子供じみた発想だと思いますよね。コンセプトこそそうですが、演奏はすばらしいの一言。エマーソン・レイク・アンド・パーマーの歴史的名盤。
プログレッシブ・ロックの歴史まとめ
- サイケデリック・ロックのブームが終焉を迎える。
- そのあとイギリスではプログレッシブ・ロックが誕生。
- プログレッシブ・ロックは前衛的で芸術性を重視。
- ピンク・フロイドをはじめ、キング・クリムゾン、イエス、エマーソン・レイク・アンド・パーマーが成功をおさめていく。
プログレッシブ・ロックはロックの多様化、ロックに芸術性をもたせたという意味でロック史全体においても重要な意味をもたらしました。さまざまな姿を見せるロックは、まだまだ進化し続けます。
<参考>クロスビート編集部 最強版 ロックの50年、究極の500枚 (2012/6/30)
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
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- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
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