唐突に思い立ったので、これまで私が読んで面白かった小説をランキングで書こうと思います。
正直小説はそんなに読んできたわけではないので、今後この順位は変動するでしょう。
私が面白いと思ったミステリー小説ランキング
ということで10位から。メジャーどころばかりです。
第10位:向日葵の咲かない夏
苦手な人もそれなりにいそうだし、そういう人の気持ちもすごくわかる。
私も最初に読んだとき、気持ち悪さと後味の悪さしか感じませんでした。
でも、数年空けて読み返したとき、その気持ちの悪さが癖になるなと思ったんですよね。
あ、気持ち悪いというのは、グロテスクだとかそういうのじゃなくて。
登場人物の思考や行動の不気味さによる不快感。
これがもうゾワゾワしちゃって。
最近は「サイコパス」なんて言葉が乱用されすぎて、言葉そのものにインパクトが欠けると思っています。
でもこの本を読んだら、「サイコパス」ってこういうことを言うんだろうな〜って感じるんですね。
普通の人間には理解できないんですよね。
そこが怖くて怖くて。でも怖いもの見たさでなんか読みたくなってしまう。
そんな感じで、最初は苦手だったけど今は好きな小説となりました。
第9位:13階段
無実の死刑囚を助けるために刑務官と相棒が奔走するという、よくありそうな設定ではあるんですよね。
でも、緊迫感がすごくて。
タイムリミットがある状況がドキドキさせてくれるんです。
犯人は気になるし、焦燥感に駆られるしで一気に読んだ思い出。
そして死刑制度については本当考えてしまいますね。それまでいかに浅い情報だけで制度のことを考えていたのかと思い自分を恥じました。
読後にずっしりと重たいテーマを突きつけられる、いろんな意味で印象深いミステリー小説でした。
あと主役ふたりの関係性がすごく良い。ミステリーとしても面白かったし、人間ドラマとしてもよく描かれていたと感じました。
グッときましたよね。
第8位:三秒間の死角
上下巻あるんですけど・・・はっきり言って上巻は面白くないです。
というか、面白い面白くない以前に、ずっと何をしているのかまったくわからないんですよ。
私の頭が悪すぎるのか・・・?
そう思って軽くレビュー検索したら、同じく内容が入ってこないという人がいて安心しましたね。
一度手を付けた本はだいたい読み切るんですけど、これは挫折するかと思いました。
ところが、下巻に入った途端めちゃくちゃ面白いんです。
上巻はジェットコースターの上り坂。下巻が下り坂みたいなイメージですかね。
上巻で見せられていたことは、これから実行する目的のための下準備で。
下巻ではそれが全部つながって伏線回収されるから、もう爽快。
この気持ちよさを体験するために我慢してきたんだなと、読後は感じました。
軽い気持ちでおすすめはできないけど、緻密に練られていて私は好きです。芸術です。
第7位:ターン
「ターン」は子どものころに読んで印象深かった小説です。
主人公は「誰か」とつねに会話しながら生活しているんですけど、当時私が子どもだったからか、この「誰か」の存在がすごく気になってしかたなかったんですよね。
おとなが読めば、なとなく察しはつきそうなものなんですけど。
私の父と母は「前半部分が退屈」だと言っていましたが、私は「誰か」が気になりすぎて最初から最後まで面白かったんです。
当然、終盤の急展開にはドキドキしっぱなしでした。
読後はなんだかあたたかい気持ちになります。
というか、ミステリーじゃなくてこれはファンタジーかも。
第6位:魔術師(イリュージョニスト)
リンカーン・ライムを主人公としたリンカーン・ライムシリーズのひとつですね。
海外の刑事ドラマっぽいテンポの良さで、サクッと楽しめます。
サクッと楽しめるんですが、ストーリーは濃密緻密。
仕掛けが多すぎて忙しいんです!
何度も何度も裏切られる(良い意味で)展開に、気持ちよさを覚えてくるんですよね。
スタイリッシュでさらっとした雰囲気なんですけど、きっちり設定が練られているのがよくわかるから舌巻きまくりです。
私は「魔術師」しかまだ読んでいないから、これからほかの作品も読みたい。
第5位:セカンド・ラブ
「イニシエーション・ラブ」はまったく刺さらなかったんですが、「セカンド・ラブ」はガッシリ心をつかまれましたね。
ちょっとずつ、「ん??」と感じる文が散りばめられていて。
それがラストで納得に変わるんです。
「イニシエーション・ラブ」もそんな感じだったと思いますが、肝心のストーリーが退屈だったんですよね。
でも「セカンド・ラブ」はストーリー自体が面白くて。真相が知りたくてしょうがなくなります。
そしてなんといっても後味の悪さですよね。
夢中になって読んだだけに、しばらく放心状態になった記憶があります。「ミスティック・リバー」鑑賞後みたいな気持ちになりますよ。
第4位:黒い家
おおげさではなく、ページをめくる手が震えたのを覚えています。
身近にある恐怖が一番怖いですよねやっぱり。
読んでから数日はちょっと臆病になりましたからね・・・
生命保険絡みの難しい話が多くて(とくに前半は挫折しそうになる)、とても最初から読み返そうとは思いませんが・・・
インパクトは凄まじかったですね。
普通の人が見せる狂気ってめちゃくちゃ怖くないですか。リアリティあってゾクゾクドキドキしました。
終盤は息を呑みましたね。
第3位:ダ・ヴィンチ・コード
学生のころ夢中で読んだ。
映画化のタイミングでどの本屋さんに行っても平積みされていたから、なんとなしに手にとったら止まらなくなって。
映画もそれなりに面白かったけど、これは本が良かった。
聖杯とか宗教とか、自分の興味の範囲外の知識だらけで難しかったし、実際理解しないまま読み進めていた部分もあると思います。
注釈と本編行ったり来たりしながら読み進めたような・・・
でも、大筋はわりかしクリアだったから、ストレスなく楽しめましたね。
あとアナフィラキシーショックって怖いんだなと、「ダ・ヴィンチ・コード」で思いました。
第2位:火の粉
日常に潜む恐怖系ですね。
ほんと、何が凶行のきっかけになるのかわかったものではありません。狂ってます。
「黒い家」と同様、読んだあとしばらくは身近な人すら怖く感じましたね。
そういうリアルな怖さも「火の粉」が好きな理由なのですが、もうひとつ好きな理由があって。
「火の粉」、女性の心理描写がすごくうまいんですよね。生々しさすら感じるほどにうまい。
ごく普通の女性としての感情が描かれているから、共感しかないんですよ。
主人公が感じるやきもき感がストレートに伝わってきて。
本はそんなに読むほうではないから、ほかを知らなすぎるというのはあると思う。
でも、私は初めて心理描写がすごいと感じたのが「火の粉」でした。
第1位:アヒルと鴨のコインロッカー
名作ですね。伊坂幸太郎は学生のころにハマって、「オーデュボンの祈り」〜「終末のフール」までは結構読んでいたと思います。
中でもずば抜けて面白かったのが「アヒルと鴨のコインロッカー」でしたね。
伊坂幸太郎の作品でよくある、前半に散りばめた伏線を後半に一気に回収していくスタイル。
これがただ気持ち良いってだけじゃないんですよね。
どんどん切ない展開になっていって、最後は虚無。
まさか「広辞苑を盗もう」からそんな悲しい流れになるなんて想像できないじゃないですか。
「陽気なギャングが地球を回す」とかのあとに読むとギャップがえぐくてびっくりですよね〜。
正直後味は悪いですが、過去と現在がつながる瞬間の驚きは忘れられません。
本が今手元にないからおぼろげですが、主人公の「僕はこの人たちの物語の脇役でしかない」みたいなセリフがすごく突き刺さった覚えがあります。
驚きと切ないラストが印象的で、私はミステリー小説の中では一番好きですね。