ロックが多様化しさまざまに形を変える華々しい80年代。
しかし、華やかなものの裏側には必ず暗い世界があるものです。
今回はそんなイギリスの暗い社会を救ったヒーロー、ザ・スミスを中心としたインディー・ロックの歴史を見ていきます。
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
- 「サージェント・ペパーズ~」名盤誕生の背景
- “神”と呼ばれた天才ギタリスト
- ドラッグ体験を再現するサイケデリック・ロック
- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
- ブリットポップブームの象徴、ブラー対オアシス騒動
- 過激なパンクを広めたグリーン・デイの功績
社会からつまはじきにされた者
80年代半ばはサッチャー政権によってイギリス社会に活気がもたらされました。
競争社会により勝ち上がったものが潤う社会。勝者だけが報われるような社会では、その競争からはずれてしまう社会に適合できなくなってしまったものも同時に生まれます。
置き去りにされた人を救ったのがザ・スミス
画像:Amazon
そんな社会から置き去りにされてしまった人々の代弁者となったのが、ザ・スミス。
彼らは労働者階級出身で、ロックスターらしからぬ普段着に身を包み、きらびやかなファッションとは程遠い装いで皮肉をたっぷり込めた歌詞で同じ労働者階級の人々や社会から置き去りにされた若者たちの支持を集めたのです。
今でこそオルタナティブ・ロックのイメージでもある普段着のような恰好でパフォーマンスを行うスタイルが1ジャンルとして確立されているものの、当時は「あなたたちそれで歌うの?着替えないの?」と言われるほど斬新なことだったんです。
観客を驚かせたテレビ出演、そこで披露したのが「This Charming Man」。
This Charming Man
ザ・スミス
1983/10/31 ¥250
熱烈な人気を獲得したザ・スミス
ザ・スミスはロックスターと観客という構図ではなく、つねに観客ひとりひとりと目線を合わせるようにしてパフォーマンスを行い、熱烈な人気を集めました。
派手な衣装を身につけず、きらびやかなニュー・ウェイヴシーンになじめない人々はザ・スミスに共感したのです。
観客との距離が近い小さなライブハウスにこだわり続けたのも、労働者階級、社会からつまはじきにされた者たちの代弁者であることを目的としていたからなのでしょう。
スタンスはもちろん、モリッシーの独特な歌詞とボーカルにジョニー・マーの心地よいギターサウンドの奇妙な組み合わせも人気の要因。
ザ・スミス解散
しかし、熱烈な支持を集めたザ・スミスですが、メンバー同士の意見の相違、対立などにより90年代に入る前に解散。
80年代中ごろに絶大な人気を誇ったロックバンドでしたが、わずか5年ほどでロックシーンから退場することになりました。
ザ・スミス解散後はザ・ストーン・ローゼズ
画像:Amazon
ザ・スミス解散後、インディー・ロックに新しい風が吹きます。
それが、マンチェスター出身のザ・ストーン・ローゼズ。
ザ・ストーン・ローゼズは60年代風のロックサウンドにダンスミュージックやハウスの要素を取り入れた独自の音を持つバンドでした。
ダンスミュージックをロックに昇華させたザ・ストーン・ローゼズのデビューアルバム、セカンドアルバムはマッドチェスター(マンチェスター中心に勃興したムーヴメント)の草分け的な作品です。
地元で行った5000人規模のライブで、ザ・ストーン・ローゼズはインディー・ロックファンのみにならず広い層の心をつかみました。
I Wanna Be Adored (Remastered)
ザ・ストーン・ローゼズ
1989/05/02 ¥200
ザ・ストーン・ローゼズの解散
しかし、契約上のトラブルの問題で音楽活動に支障が出始めバンドは一気に失速。
裁判の泥沼化やバンドメンバーの環境の変化などにより、結局1995年には解散してしまうことになります。
それでもザ・ストーン・ローゼズの功績は大きく、オアシスをはじめ後のロックシーンに多大な影響を与えました。デビューアルバム「ザ・ストーン・ローゼズ」は歴史的名盤と名高いです。
ロック史まとめ
- 80年代半ば~暗いイギリス社会の希望だったのがザ・スミス
- ザ・スミスは飾らないパフォーマンスで社会から疎外された人々を熱中させた
- ザ・スミス解散ごろから注目を浴びはじめるのがザ・ストーン・ローゼズ
- ザ・ストーン・ローゼズはロックにダンスミュージックを融合させた
<参考>クロスビート編集部 最強版 ロックの50年、究極の500枚 (2012/6/30)
- ロックの起源を知る
- ビートルズが偉大なわけ
- “プロテスト歌手”ボブ・ディランの転機
- 「サージェント・ペパーズ~」名盤誕生の背景
- “神”と呼ばれた天才ギタリスト
- ドラッグ体験を再現するサイケデリック・ロック
- 難解さゆえに長く続かなかったブーム、プログレッシブ・ロック
- 主役交代、時代はビートルズからレッド・ツェッペリンへ
- ロックの神秘、グラム・ロック
- ロックスターなんてクソ!吠えたのはパンク
- ニューウェイヴ、ロックは形を変えてゆく
- 80年代を支えた”産業ロック”
- NWOBHMとヘヴィメタル
- 暗い社会に希望をもたらしたのはザ・スミス
- 自ら巻き起こしたブームを自らの死で終わらせたニルヴァーナの衝撃
- ブリットポップブームの象徴、ブラー対オアシス騒動
- 過激なパンクを広めたグリーン・デイの功績