「どうしてプログレを好きなってしまったんだろう」読んだ!面白かった!
プログレ、キング・クリムゾン大好きな私は楽しめました。
意外と分厚かったんですけど、著者さんのユーモアな口調が面白くてさらりと読めてしまいます。
私、こういう小説じゃない本は一気に読むんじゃなくて「そういえばあれなんだったっけ?」とふと疑問に思った瞬間に引っ張り出してはまたしまうを繰り返すタイプ。
だから一応さらっと読んだけど、またたとえばキング・クリムゾンだったりとか、ピンク・フロイドだったりをじっくり聞くときに音楽と一緒に読みたいなぁと思いました。
デヴィッド・ギルモアにとってのピンク・フロイドと、ロジャー・ウォーターズにとってのピンク・フロイドの話なんか爆笑しながら読んだし。
「ディシプリン」期のキング・クリムゾンについてロバート・フリップが語っていた話もなんとなく腑に落ちたし。
ジョン・ウェットンの楽観的なところが甘いよって話があったけどそれもかわいいなと思ってますますウェットンが好きになったし。
まあ何よりも読み物として楽しかったです。
てことで「どうしてプログレを好きになったしまったのか」第二弾を読んだ感想を語ろうかと思います。もう要約すると上記で書いたようなことだけど!
「どうしてプログレを好きなってしまったんだろう第2弾」ってどんな本?
- 書名:いとしの21馬鹿たち どうしてプログレを好きになってしまったんだろう 第二番
- 著者名:市川哲史
- 出版社:シンコーミュージックエンタテイメント
ざっくりどんな本なのかを書くと・・・
もし日本のマニアックなファンが1stアルバム、あるいは解散前のアルバム群を特に好きだというのであれば、それはただ彼らがそれらのアルバムを手元に置いてあるという―歴史の一断片を把んでいるということだよ。
(30頁)
という「ディシプリン」にネガティブな反応を示す日本のキング・クリムゾンに対するロバート・フリップの意見を聞き出したり。
僕の人生の中では何の転機にもならなかったのさ。
(144頁)
というキング・クリムゾンのアルバム「リザード」でボーカルをつとめたゴードン・ハスケルのキング・クリムゾン在籍時の心情をせきららに吐露した話を聞いたり・・・。
そんな本です。(説明雑ですね、すみません笑)
要するにプログレ界隈の人物へのインタビュー中心に、ライブだったり作品を楽しく分析されている本。
ロバート・フリップやビル・ブルーフォード、ジョン・ウェットン、エイドリアン・ブリュー、マイク・ラザフォード、ピーター・バンクス、ゴードン・ハスケルなどなど。
わりとマニアックなところに焦点があたってたりするのも面白かった。
キング・クリムゾン周りの人物が多めかかな?
「どうしてプログレを好きなってしまったんだろう第2弾」読んだ感想
私がとくに面白かったなという部分について感想を書いていきますね。
ギルモアとロジャーそれぞれにとってのピンク・フロイド
デヴィッド・ギルモアもロジャー・ウォーターズもそれぞれのソロライブでピンク・フロイドの曲をやりますよね当然。
で、その中で「ギルモアとウォーターズはどのピンク・フロイドの曲を何回演奏したのか」が集計されてたんです。
もうすでに面白いじゃないですか?
で、その回数順に並べてみると・・・まあ見事にギルモアとロジャーの傾向がはっきりと出てるんですね。
とくにギルモアのセトリがはっきりしていて面白かったんです。
「アニマルズ」と「ファイナル・カット」からの曲はまったくやってなくて笑
ロジャーの書いたピンク・フロイドはやるもんかという一貫した姿勢に、このふたりの因縁の深さを感じました。
「コンフォタブリー・ナム」は毎回演奏されてたみたいですけど(作詞ロジャーで作曲がギルモア)。
一方でロジャーは「おせっかい」までの曲はあんまりやらなくて、「狂気」〜「ファイナル・カット」までまんべんなくやってたんですね。
「ファイナル・カット」はもう実質ロジャーのソロ作品みたいなもんだからしょうがないか。
とまあふたりのソロライブを細かに分析されているのが面白かったです!
「ディシプリン」期のキング・クリムゾン
冒頭にちょろっと書いたやつですね。日本のファンの反応が芳しくない「ディシプリン」について、ロバート・フリップが語ったことにハッとしたんですよ。
ちょっとフリップの話すことが難しくて伝えづらいんですけど・・・
キング・クリムゾンの活動はプロセス。だからつねに変化していくもの。特定のアルバムという形に収められたプロセスだけをつかんで離さないのはおかしい。
だいたいそんな感じのことを言っているんだと思います。
要するに変化もキング・クリムゾンそのもの、みたいな。
そのフリップの考えを聞いて、私自身の姿勢を改めようと思ったんですよね。
私も本の中で書かれていたように「ディシプリン」にネガティブなタイプだったので・・・。
「ディシプリン」もキング・クリムゾンのプロセスだから。
キング・クリムゾンを形成する一部。
サウンド的な好みがあるのは当然だからしかたないにしても、決して「ディシプリンはなくてもよかった」ということはない。
・・・と、「ディシプリン」はそのときのキング・クリムゾンを映し出したプロセスなんだなと思って考え方が変わりました。
ジョン・ウェットンがますます好きになる
本に「ジョン・ウェットンがもったいない」という項目がありまして。
ジョン・ウェットンの見通しの甘さ、諦めの早さがちょっともったいないなというお話なんですけど。
その中のエイジア再結成のときの話が面白かった。
85年リリースの「アストラ」はめちゃくちゃ力を注いだ作品で、最高傑作だとジョン・ウェットンは確信していたみたいです。
ところがそれが英68位、米67位が最高という結果に散り、みんなガッカリ。
時機が訪れるまで様子見することにし、それが来たと思ったのが90年だった。
そこで90年代復活するぞって活動したんですが、それもまた惨敗・・・エイジアを見限ったウェットンは91年に脱退するという。
たしかにジョン・ウェットンっていろんなバンドを転々としていたイメージはあったんですけど、そういう性格だったんだなというのがわかる内容でした。
イケる!→あ、ダメだ脱退しよ→転々繰り返す。
そんなジョン・ウェットンがちょっと面白くてかわいくてますます好きになりました笑
おわりに:「どうしてプログレを好きなってしまったんだろう第2弾」プログレ好きは面白いと思う
以上、「どうしてプログレを好きなってしまったんだろう第2弾」を読んだ感想でした。
なかなかマニアックな内容が多めなので、プログレ、とくにキング・クリムゾンあたりが好きな人には刺さると思いました。
脚色がかった語りや著者さんのレンズを通しての人物描写な部分はあるけれど、いちプログレファンとして勉強になった!何より作品への向き合い方、聞く姿勢が変わったアルバムも出てきたので良かった!
ロック好き全員にすすめられるかというとNOですが、プログレ好きは楽しめるかなと思います。